さて、ここを読んでくれている人のほとんどは、おそらく私が博士課程で『半導体』と言うものを研究していると、ご存知かと思います。
けど、一体その『半導体』ってものが何なのか、更に言うとそれが一体何の役に立つのか、知らない、分からない、というか、知る気にもならないもしくは、知ってどうすんの?(涙)という方がほとんどではないでしょうか...
でも、マキも自分の仕事を少し紹介した訳だし、私もとりあえずと、簡単に説明してみます。
まず、半導体ですが、すっごい荒っぽく言うと鉄とガラスの中間のようなモノの総称です。
鉄は電気を通しますがガラスは(そのままでは)通しません。
半導体はこの中間で、とあるトリックを用いると電気を通すけど、同じように別のトリックを用いると電気を通さない、モノスッゴく大雑把に言うと(電気的には)鉄にでもガラスにでもなる物質です。
で、これのどこがいいの?っていうと、半導体のいい所は上記のトリックを使う事によって電気(電流)を通したり通さなかったり、つまり電気(電流)をコントロールできる所です。
すっごい大量の電灯を、キレーに並べて平面を作ったとします。
ここでその内のいくつかの電灯を、そうですね、猫の形に沿ってつけたとすると、そこに猫の形が浮かび上がります(当然ですわな...)。
さて、この電灯のオンは電流を通し、オフは電流を通さない状態、つまり電流の制御でできますから、前述の通り半導体で電灯を操る事ができる(つまり、猫の絵を浮かび上がらせたり、それを他の絵に変えたり、消したりできる)ようになります。
この電灯の平面を14インチとかの大きさに凝縮したものが、いわゆる今の薄型テレビの一種の原型になる訳です(日本で有機ELと呼ばれ、ここアメリカではOLEDと呼ばれているタイプです)。
つまり、私のやっている研究は、モノッッッスゴく平たく言うと、超小型のスイッチの研究です。
しかし、このスイッチ、ちょっと変わっています。
最初に電気の通さないものの代名詞として、『ガラス』を引き合いに出しましたよね。
あれ、ぶっちゃけ、嘘です。
確かに、おじいちゃんの知恵袋的な事を言うと、基本的にこの世の中のモノは透明だと電気を通しません。
でも、これ、あくまで基本です。
ちょっとしたトリックを用いてやると、実は電気を通してしまうんです。
で、これが私の研究テーマです。
つまり、私が研究しているのはこの電気を通すガラス(で作ったスイッチ)って訳です。
これが実用化されると、色々な用途がある訳ですが、その一つが前述の薄型テレビ。
これ、韓国のメーカー、サムソンから出品されたものなんですが、ご覧の通りディスプレーそのものが透明です。
将来的にはすべて透明なパソコン、昼間ガラスが夜には明かりになったり、車のフロントガラスが大画面のテレビに変わったり、日常生活だけでも色々応用できます。
さらに紫外線をカットするだけでなく電力に変えるような事も可能ですし、逆に赤外線を出してモノを暖める事もできます。
まぁ、色々応用例はありますが、教授曰く、電子回路が透明になって初めて考えつく事ができたものってのが将来的に出てくる可能性もあるわけで(つまり、今は世の中に存在していないモノ)、一体どんなのに応用されていくのか、実は個人的にもちょっと楽しみにしている所です。
以上、簡単ながら私の仕事内容の説明でした。
機会があったら、今度はもう少し突っ込んだことを書いてみようかと思います。
ケン