少し朝はゆったり過ごし、その後は再び例のチケット屋へ。
このチケット屋さん、説明し忘れていましたが地元ラスベガスのいわゆる格安チケット屋で、劇場やブローカーなどからショー前日までに売れずに残ったチケットを、大幅な値引きで売りさばいており、その値引率は大きいときは50%を超えます。
ショーだけでなくディナーも手がけており、店の前にあるディスプレーに表示されるそのリストは、かなりの長さです(ちなみにオール・アクセス・エンターテイメントと言う別のお店もあります)。
毎日朝の9時30分にその日(もしくは翌日)の購入可能なショーが提示され、10時から開店します。
当然のように元々売れ残りのチケットなので、人気のあるショーでいい席のチケットは当初から枚数がかなり制限されている関係もあって、通常は店の前に開店30分くらい前からはお客が列を作っています。
でも、2回目利用の場合はVIPチケットなる裏から通してもらえるものがもらえるため、列に並ぶ必要はありません。
前回2回にわたって別のショーを購入していた私たち(って言うか、両方ともマキちゃんがやっててくれたんですけど:苦笑)は当然、このVIPルートで。
2日ほど前にもう一つショーを見ようと話をし始めた当初はシルク・ド・ソレイユの『O』が一番人気で、なおかつガイドブックでも評価が高かったために候補だったのですが、我々の残り2日共に休業日に当たっていた為に断念。
代わりにもう一つのシルク・ド・ソレイユ、『Ka』に的を絞っていました。
ところがチケット屋さんに出かけて話を聞いたところ、なんとも残念な事にチケットが出ていないとの話。
チケットがなければ話にもなりません。かといって他に見たいショーが特段ある訳でもないのに、時間だけはある(この日を含めて2日)のでどうしようかと考えあぐねいていると、お店の人が2つ代わりのショーを薦めてきました。
一つはV - アルティメット・バラエティ・ショーというもので、詳細はよく覚えていませんが、名前の通りいろんなもんが次から次へと出てくる...ってな感じだったと思います。
もう一つは『祭』というショーで、日本から来た人たちが期間限定でおこなっているアクロバティックなショーだそうです。
店の人の説明だと、シルク・ド・ソレイユの華やかさを引いて速度を倍速にした感じだそうで、何でもその人の上司は、店員向けに出る売れ残りチケットからそればかりを選んで15回は見に行ったとか(まぁ、何事にも大げさなアメリカ人の言う事なんで、話1割程度で...)。
値段もかなり安く、VIP席でもわずか$10高いだけの$50程度だったため、こちらのショーを見る事に決めてチケットを購入。その後、会場となるインペリアル・パレスへチケットの交換に出かけました。
インペリアル・パレスは丁度シーザース・パレスのストリップを挟んで向かい側にあるホテルで、正面になんちゃって五重塔が組み込まれた、正直、かなりうさん臭〜い作りのホテルです。
前に来たときにこんなのが立っていた記憶がないので、おそらくここ4、5年の間に増築されたもんではないでしょうか。
いくら客の目を引くインパクトが欲しいとはいえ、これはちょっと悪い方向へやり過ぎでは。
中も結構年季が入っており、ストリップ沿いのホテルなのに、どことなーくダウンタウンの香り(マキの例えだと『有馬温泉のような雰囲気』)を漂わせています。
ショーのボックスオフィスは入って結構奥の方でしたが、難なく見つける事ができました。チケット引き換え後は、前日に行ってみようとして行けなかったベラージォのモールへ。
今やラスベガスを代表するホテルと言っても過言ではない所だけあって、ここはかなりいい雰囲気でした。
一体いくらかけたのか知りませんが、かなり大掛かりで、特に圧巻だったのは入り口奥手にある大きなクリスマス・ツリー(左の写真)。
屋内だというのを忘れさせてくれるぐらいのサイズです。
他にもモールの奥には世界最大とギネス認定をされたチョコレートの滝があり、その近くには中庭を見渡せる大きな窓と、その脇に座り心地の良さそうな椅子と机が、いくつも並ぶ雰囲気のいい廊下がありました。
後でこの廊下でお茶をしながら二人で本を読んだんですが、それは後で再び紹介するとして、一通り見終えた後は新しくできたというシティ・センターへ。
初日に実はこのシティ・センターのすぐ近くを歩いて通っていたんですが、中に足を踏み入れる機会がありませんでした。
表から見た感じだと、どことなーく東京の品川辺りを思い出させる感じのガラス張りの高層ビルで、エッフェル塔やら海賊船やら五重塔やら、かなりいい意味でも悪い意味でも個性的な建物が乱立するストリップにあって妙な無機質さを醸し出しています。
たしかこのシティ・センターがオープンしたのは、私たちが到着した日からさかのぼる事わずかに数週間だったようで、一部はまだ工事中でした。
ラスベガスという華やかな街の空気を反映して、シティ・センターという堅苦しい肩書きながら、その実態は高級ブティックの並ぶショッピングモールとホテル、コンドミニアムにカジノが入る、一大エンターテイメント・センターです。
ベラージォからは歩いていく必要はなく、トラムと呼ばれるモノレールのような乗り物で、途中駅にて下車するとたどり着けます(トラムはベラージォとモンテカルロを結んでいます)。
駅からして、なんとなーく近未来的な造りをしていて、トラムに乗るあたりから期待していたんですが、降りてみてちょっとがっかり。
確かに近未来的な香りのする、いわゆるコンテンポラリー・アート的な内装なんですが、とにかく雰囲気がない。
簡単に言えば、80年代に思い描いた21世紀の街という感じでしょうかね(右の写真)。
白くシンプルなランダムに凹凸を繰り返す壁、その間を雑味どころか味気すらない無機質なガラスと金属の板が埋めています。
案内も人ではなく、タッチパネル式のコンピューターが配置されています。
しかも建物の構造が非常に悪い。
あちこちに何もない単なる行き止まりがあり、『何があるのかな〜』とか楽しみにして歩いていったのに、ただの徒労に終わる事も結構ありました。
ベラージォやベネチアンが中世の雰囲気を醸し出してにぎやかな印象でしたが、ここは打って変わってコンピューターの合成音声と足音すらコツコツと響いてきそうな回廊から、非常に冷たい印象を受けました。
何はともあれ、残念な物をいくら眺めていても仕方ないし、なにより少しおなかもすいてきたので一度ホテルへ戻り、部屋で簡単な昼食を取る事に。
昼食後、ショーまで時間もあったので、それまで少しのんびり過ごそうとホテルのプールへ(左の写真)。
冬という事もあって、プールに入っている人などほとんど皆無でしたが、日差しは強くて服を着ているとポカポカとしてきて結構気持ちはいい感じでした。
で、プールサイドで少し横になって、二人そろって本を読み始めたんですが、私はわずか数分にて睡魔に無条件降伏、シャット・ダウン。
その後どれくらいいたかはよく覚えていませんが、気がつくと日が少し弱まって風が強くなり、少し肌寒い感じになっていました。
で、前にも書きましたが、マキは寒いのが大の苦手。
すぐさま移動しようと言う運びになりました。
しかしショーまではまだちょっと時間があります。
そこで上で紹介したベラージォのちょっと雰囲気のいい廊下で(右下の写真)、お茶でも飲みながらまた本でも読もうという話になり、再びベラージォまで行く事にしました。
しばらくそこにとどまって本を読んだ後、時間を見計らってインペリアル・パレスへ移動し、例のショー、『祭』を鑑賞。
VIP席とはなっていましたが、やっぱり$10程度の違いでは大きな差は望めなかったようで、ごく普通のテーブルに、他のお客と相席となっていました。
ショーは出だしに、ちょっと無理に日本っぽさを押し出そうとした所があってか、ゾゾゾッ!と感じた所がありましたが、確かにテンポ良くアクロバティックな出し物がスイスイと進んでいく感じ。
ただ私たちが、わずか3日前にシルク・ド・ソレイユのミステイアを観てしまっていた事もあって、どうしても衣装や音楽などで比較してしまい、演出の華やかさに関してかなり見劣りする感じは否めませんでした。
なにより振り付けが、どことなーく日本のアイドル歌手のバックダンサーを思い出させる、ちょっと安っぽい感じ。
でも、マキとも話したんですが、これは私らが昔から紅白やらレコード大賞やらを見てきたせいで、日本の文化自体を知らないアメリカ人からしてみれば、かなり新鮮だったのかもしれません。
総合して、値段相応の満足度ではありました。
この後は、マキコさんお待ちかねの日本食レストラン、楽へ。
このレストラン、マキが例のガイドブックで完全に魅入られてしまった所なんですけど、私個人的には、実際行って食べるまでは半信半疑でした。
しかもかなり小さなレストランで、特にガイドブックには書いてなかったんですが、予約を入れないと席の方が確保できないっぽく、実は前日に一度行こうとして断念していました。
場所は前に来たベトナム料理屋の近くでしたが、ガイドブックやインターネットでしっかり場所を下調べして行ったのにも関わらず、案の定、そのサイズからどこにあるのかよくわからなくて、再び電話するハメに。
ちなみにガイドブックでは、ラスベガスの新興高級ホテル・アンコールの総料理長、ジェット・ティラがべた褒めしており、曰く日本国外で食べた日本食ではベストとの事。
しかし、一流ホテルのトップ・シェフとはいえ、所詮は甘みで舌が麻痺するようなケーキをむさぼってる国の人の話。
大した参考にもなるめぇ、なんて高をくくっていたんですけど、頼んで出てきた料理の最初の一口目で一気にそんな傲慢な気分も吹き飛びました。
とにかく、旨い。
他に形容のしようがありません。
頼んだ物は結構ありきたりなんですけど、一品一品しっかり作り込まれています。
串焼きはしっかり炭の香りがして、脂はしつこくない程度にしっかり落とされていますし、おでんは恐ろしく良く煮込んであり、汁はだしの風味がしっかり鼻と舌に残ります。
特に揚げ出し豆腐が最高で、一口で口どころか顔が溶けました。
ホントは揚げ出し豆腐をもう一つお代りしたかったんですけど(って言うか、実は内心、これだけ腹一杯食いたいと思ったんですが...)、他にもおいしそうなメニューが山ほどあって、これだけで終わらせてはもったいないと、マキに言われて思いとどまりました。材料にも恐ろしいこだわりがあるようで、すべての海産物は東京近郊からの直輸入で、牛肉はアメリカで育てられたレプリカ神戸牛じゃなくて、正真正銘の神戸の神戸牛だそうです。
前述の揚げ出し豆腐は、実は豆腐自体がこの店のシェフお手製の物だとか。
テーブルに置かれている塩も抹茶塩を使っているそうです。
食事中、何度も『しあわせやね〜』と言うマキの表情が、ホントにすべてを物語ってました:笑
結局予算は日本のちょっと高めの居酒屋で飲んだときと同じくらいの値段でしたが、満足度は口では言い表せません。
ここはうちらのおすすめなんてレベルじゃありません。
ラスベガスに来たなら絶対シルク・ド・ソレイユを観て楽に行くべし!
行きはバスで来たんですが、帰りのバスの時間を気にして至福の時間を台無しにしたくなかったので、帰りはタクシーを呼んでもらってホテルまで。
その帰りのタクシーの中、運転手に『何度もここに呼ばれて客を拾いに来たけど、入った事はない。どうだった?』と聞かれ、早速宣伝しておきました:笑
次にくるときには、予約すらとれないような人気店になってるやも。
続く?ってか、続かせて... けん
p.s.
回を重ねるごとに、どんどん長くなっていってる気が...